有峰林道小見線から大自然に包まれた有峰湖西岸を駆け抜け、新穂高の奥飛騨温泉峡へ。この季節、周辺の山々には冷気が降り、澄んだ空の下には美しい紅葉した景色が広がる。今回はそんな紅葉が堪能できて、しかも日帰りで巡って来れる「紅葉の道」を、ハーレーに跨がる風来坊主GAKUさんと共に巡ってきた。

 富山市内の近所のコンビニで待ち合わせをして大山町方面へ。途中「切りかけの松」という変なものを発見。この松、その昔、切ろうと思ったら切り口から血が吹き出したので、そのままになったというお噺があるところらしい。近付いてみると確かにパックリ開いた切り口があり、切り口を覗いたらヘビのヌケ殻があってビックリ。
 さて、大山町に入り常願寺川の手前で右折し踏み切りを過ぎて見晴らしの良い道をゆく。有峰林道小口線のゲートで「今年は通行できない」と言われたので小見線ゲートへ。亀谷温泉と書かれた赤くサビのういた古びた看板をくぐると、すでに周囲はなんとも風情のある光景となる。
 ゲートをくぐり、いざ林道へ。
 有峰林道はバイクが300円、車が1800円。車は通常5人乗りだから(最近そんなに人が乗った車は見ないが)5人×300円と考えてもバイクはお・ト・ク。急勾配、急カーブ、高低差のある林道は、紅葉シーズン真っ最中ともなれば必ずどこかで、最高に綺麗な葉の色づきを魅せてくれる。上の方が紅葉していても下の方はまだだったり、上が散っても下ではまだ紅葉が見れたりと、山の雄大さが体感できる道。とはいえ、危険箇所も多くて、工事中や未改良の区間もある。未舗装の砂利道はスポーツバイクや、まだバイクに不馴れな人には不向きかもしれない。また、公衆電話がなく携帯電話も通じにくいようだったので、そのあたりにも留意くだされ。
 林道を上がる途中、道路脇にコンクリーの通路が見え隠れする。昔、冬期に上へ物資を運ぶための通路として使用されていたらしい。ちょろっと入ってみたが、奥へと進むとなにやら無気味で恐くなった。
 いくつかトンネルを抜けると有峰のダムが見えてくる。ダム湖周辺は静かで冷たい空気で満ちていた。途中、木陰にバイクを停め、キャンプ場だったらしき林を抜けて湖岸へ降りる。何やらクマでも出そうな雰囲気だが、GAKUさんは「こんなとこにクマは出ないよ。」と笑う。
 湖岸へ出ると粘土質の地面が広がっていて爽快な眺め。近くに小さな小川が流れていた。小川の周囲には草が繁茂し、緑が川に触れろと誘う。冷たく、指先がしびれるほどの水。
 再びバイクに跨がり有峰湖を後にする。気がつくと右手に看板がある。  (クマ出没注意!!)
 「をい、GAKUさーん!」

 GAKUさんによると飛越トンネルの岐阜県側に広がる森林は、特に紅葉シーズンはとても綺麗なのだそうだ。それにしてもこのトンネル、なんだかトビラがついていて変。ウルトラ警備隊の飛行機でも出てきそうだ、ワンダバダ、ワンダバダ♪ 冬には閉めるのだろうか。
 山之村というなんとも変わった地名にさしかかったあたりで腹が減ってきた。左手には白樺をバックに小さな牧場が見えてきた。黒い牛がいる。昼は和牛・・・じゃなくて蕎麦。「夕顔の駅」で蕎麦を食う。さり気なく手打ちなのがいい。店内にオバちゃんが蕎麦を切る音がこだまする。ここらは何やら作家さんが作品の題材にした所でもあるらしい。確かにいいとこだ。さて腹も膨れたので今度は温泉。
 双六渓谷を抜けR471へ出て左折。途中、道の駅で用を足したら温泉へ。新穂高の湯。ここは管理人も誰もいない露天風呂。風呂の底が小さな砂利で歩くと疲れた足の裏が気持ちいい。さっさと入ってさっさと帰らずに川に面した小さな風呂(?)にも入って欲しい。湯の温度も高くなくて、あんまりのぼせないし、快適、快適。あ、混浴なんでそこんとこよろしく。
 帰路はなんだか気持ち良くって、ボォーっとしちゃって眠いもんだから、細入の道の駅でちょっと休憩。みやげ物屋の前のベンチでゴロリ、風が気持ちいい。温泉につかった後は、案外、湯冷めしないのだなぁ、などと思う。GAKUさんいわく。
 「俺の言ったとおり、湯冷めしないだろ?」
 確かに。でも。
 「クマは出るみたいだったじゃん。」
 と、俺。